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好きなものを好きなように

アイドルに「アイドルは幻想だ」と言わせたくない

先日痛ましい事件が起こったのがきっかけなのかそうじゃないのか、「アイドルとファンの関係性」に着目した議論をよく目にする。

Twitterで女性アイドルの方が「アイドルをひとりの女の子として見ないで」「アイドルはただのアイドルでしかない」と発言して話題になっているのを見て、それはもちろん完全にまぎれもない正論だけれど、でも自分の好きなアイドルには言ってほしくないしなにより言わせたくないなと思った*1

 

私はアイドルヲタクだ。ジャニーズ事務所に所属しているKAT-TUNというアイドルグループが好きだ。亀梨くんが好きだ。

 

彼らとどうにかなりたいという気持ちは一切ない。私の愛し方はジャニヲタ界隈でいう、いわゆる「リア恋」ではない。尊敬し崇めているという言い方に近い。それでも彼らに「愛してるよ!」とか言われたら「キャー!」ってなるし、ちょっとこっち見られたら「目合っちゃった!」って言う*2

 

私は彼らを偶像として捉え、「私にとってのKAT-TUN」「私にとっての亀梨和也」を愛している。彼らに幻想を抱いて、その幻想を愛している。

 

もちろんその自覚はあるし、幻想は幻想でしかないということも重々承知している。それでももし、亀梨くんが「アイドルはアイドルだ」「ただの幻想だ」という発言をしたら、私はかなりショックを受けてしまうと思う。

 

なぜだろうか。答えは簡単で、私が「夢じゃない」という夢を見ているからだ。

 

好きなアイドルと例えひとときであっても自分と同じ空間を共有し、お互いに笑いあい、「好きだよ」と伝えあう。それを「夢じゃない」と思いたい気持ちがあるからだ。そして一度でも「それは夢なんだよ」と言われれば「ああそうだよね」と納得してしまう自信があるからだ。

 

幻想は幻想でしかないと分かっているけれど、完全に飲み込むことはしたくないのだと思う。これが私の、アイドルヲタクとしての弱点であり、また醍醐味でもある。そこを好きなアイドルには、亀梨くんたちには突いてほしくない。そこはお互いに理解したうえで、そして暗黙の了解のなかで過ごしていたい。

 

そのために必要なのは、やっぱりファンひとりひとりの自覚なのかなあと思う。プロのアイドルをもってして「アイドルは幻想だ」と言わせてしまうその状況を絶対に作りたくない。アイドルとして仕事を全うする、その選択を彼らに切り捨ててほしくない。だから、私はアイドルを傷つけたくないし、彼らの意思に反するような気持ちの押し付け方はしないようにせねばと思う。そして彼らにも、ファンとの距離感を凌駕できるような魅せ方を常にしていてほしいと願っている。「会いにいけるアイドル」よりも「圧倒してくれるアイドル」が私は好きだ。

 

 

日本の片隅に生きるジャニヲタの、自分に対する戒めとアイドルに対するちょっとしたわがままでした。おわり。

 

*1:でもあの発言をした彼女の意志はすごく一貫していて、それはそれで素敵だとは思う

*2:そしてそれは基本的に勘違いだ